『宇宙を駆けるよだか』を見た
※本編のネタバレあり
公開されて2週間近く経つが、ようやく見ることができた。予定が詰まっていたのもあるが何よりも、原作と予告で火賀くんの夢女と化していたのでドラマを見るのにもかなり気合の入る行動だったので見るのに時間がかかってしまった。
しかし一度見始めたら結末を知っていても話にのめりこんでしまい、1話ごとに休憩を挟みつつも結局1日で全て見てしまった。
何よりも、4人の演技が素晴らしかった。火賀に気づいてもらえた時や優しくしてもらった時のあゆみin然子は愛嬌があってとてもかわいらしかったし、然子inあゆみの冷たい目線は背筋が凍るようだった。
そして物語の後半、火賀とシロちゃんが入れ替わったときもそれぞれ特徴をとらえたキャラクターにきちんと入れ替わっていて、役者ってすごい、かみしげってこんなに演技が上手かったんだって自担と神ちゃんに惚れ直す瞬間でもあった。火賀が関西弁だったのはシロちゃんと入れ替わったときにわかりやすくキャラ付けするためのものだったのかな。
原作では、然子がそれまでの苦しみを告白する天文台のシーンで然子に感情移入してずっと涙を流していたんだけれどドラマでは最後の火賀があゆみを想って身を引くところに涙が出たし、物語を通して見たとき然子よりもシロちゃんの視点に1番共感を持てたのが自分の感情の動きとしても面白かった。
わたしは然子のように外見にコンプレックスを抱いているし美少女と入れ替わることができたならと思わずにはいられない。けれどこれは漫画やドラマの出来事だとわかりきっているし現実で外見を変えるならばメイクやダイエット、整形などしか方法はない。
そして何よりも然子よりもシロちゃんに感情移入したのは、勉強もスポーツも火賀より優っているのにみんなの中心にいるのはいつも火賀だという、火賀に対してのコンプレックスや計算高い性格に人間味と親近感を覚えてシロちゃんの視点でドラマを見ていたのかもしれない。これは原作を読んでいたからこそかも。
そして外見を変えても中身は変わらないというのがドラマでは最終的な結論だったが、果たしてそうだろうか。外見にコンプレックスを抱いているものとしては、やはり外見という希望にすがりたくなってしまうのだ。
ドラマとは話が逸れるが、本当に外見が変わっても中身は変わらないのかなと考えることがよくある。ドラマのように、入れ替わりで変わったら違うのかもしれないが現実においてメイクやダイエット、整形などで外見が変わったとき、わたしの場合は多少なりとも中身に違いが出てくるように思う。
努力をして得たものは何よりも変えがたい自信になる。わたしは自分が多少なりともまともに見えるメイクを見つけられたとき諦めていた可愛い服を着ることができた。ニート時代ダイエットに成功して多少なりとも外見に左右される憧れのバイトに応募することができ働くこともできた。
確かに根の性格は変わっていない気もするし、なんならさらに卑屈になった面もあると思う。可愛い子がたくさんいる業界だったので、外見であからさまに比べられることも多かったし傷つきもした。今でも外出するときはつけまつげが手放せなせずにいる。
話はよだかに戻るが、火賀があゆみin然子に告白したあと、「この見た目でも好きになってくれた?」と聞いたら「そしたらもっと早くあゆみの良さに気づけたかもな」と答えたシーンは眩しすぎて、火賀がかっこよすぎて、ムカついた。
然子の言い分である、外見で悩んだことがないからそんなことが言えるのだと、元が可愛かったから好きになったんだろうと思わずにはいられない。それでも火賀はまっすぐな目で、まるで外見なんて関係ないなんてことを言う。
火賀にムカついて仕方ないのに、あゆみin然子を献身的に支えた姿をそれまで見てきたこともあり、火賀を、そしてそんなムカつくくらいかっこいい役をやってのけた重岡大毅という人をさらに好きになってしまう自分がいた。
最後に火賀が体を取り戻したあゆみをシロちゃんとよりを戻すよう後押ししたときに流した涙に、わたしはなぜ泣いたのか未だにわからずにいる。あゆみin然子を献身的に支えていた姿を見ていたからなのか。シロちゃんは全て火賀が持っていってしまうといったけれど、シロちゃんがあゆみを助けたときから火賀とあゆみが結ばれる運命は途絶えていたのだろうし結果的にあゆみが選んだのはシロちゃんだった。
まだ漫画を一度読みドラマも一度だけでは噛み砕けずにいる問題がたくさんあるので、もう一度原作を読んでみようと思う。